【ebay】仕入れと在庫の仕訳(インボイス制度対応)

守る力 稼ぐ力

当記事では簿記の知識が全くないebayセラー向けに、海外輸出のために「商品を日本国内で仕入れた時の仕訳方法」と「期末(年度末)に在庫がある時の仕訳」について、実際に会計ソフトでの仕訳を見せながら丁寧に解説します。

2023年10月1日から始まるインボイス制度に対応した仕訳の作成方法や、在庫について消費税還付を受けられるかなど、よくある疑問についても詳細に解説をしていますのでぜひ最後までお読みください。

適切に仕訳ができていれば税金控除満額受けることができますので、しっかりと理解し国に納め過ぎた税金をきっちり取り返しましょう!!(`・ω・́)ゝ

なお、当記事では実際に私が使用している会計ソフト「マネーフォワードクラウド確定申告」を使った仕訳作成について解説しております。

マネーフォワードクラウド確定申告はPaypalとの連携など、外貨受け取りサービスとの連携機能が最も充実した会計ソフトなので海外輸出事業を行なっている人には1番使い勝手の良い会計ソフトです。(現在のebay決済システムに組み込まれているPayoneerとの連携は2023年4月時点で未実装ですが、他の会計ソフトに比べるとPaypalでの実績がある分いずれ実装される確率が1番高いと思われます)

料金も年間プランで月額980円と会計ソフトの中では最安なので、もし海外輸出事業を始めるにあたってどの会計ソフトを使うか迷っている人は、ぜひ私と同じ「マネーフォワードクラウド確定申告パーソナル年額プランをおすすめします。


なお、消費税還付を受けるための確定申告の具体的な方法については実際の操作画面の図解つきで、こちらの記事:【2023年版】ebayセラーの青色確定申告(完全マニュアル)にて紹介しております。

帳簿を作成した後に最終的にどの様にして国に確定申告をするかを理解しておくと各仕訳の理解も円滑に進みますので、ぜひ当記事と併せてご覧ください。

当記事の目次は下記のようになっております。

本記事の目次

それでは順に解説をしていきます。

1. 会計ソフトの基本設定

具体的な仕入れの仕訳の説明に入る前に、必要な会計ソフトの基本設定について解説します。

事前に会計ソフトの基本設定を適切にしておかないと、消費税還付を受けられる形式で帳簿作成ができないからです。

具体的に行う会計ソフトの基本設定は下記の3つです。

会計ソフトの基本設定

  • 消費税課税形式の設定:原則課税個別対応方式
  • 経理方式の設定:税抜(内税or別記、おすすめは「内税」)
  • 税区分の設定:消費税還付に必要な税区分を仕訳の際に選択できる状態にします

会計ソフト「マネーフォワードクラウド確定申告」の場合、まず「ホームページ>各種設定>事業者」をクリックします。

すると下記の様な、帳簿作成における「消費税」の設定画面がありますので、ここで「課税形式」と「経理方式」について設定します。

課税形式については「原則課税個別対応方式)」を選択します。

もう1つの「原則課税(一括比例分配方式)」でも消費税還付を受けられるのですが、こちらを選ぶと「免税売上高や課税売上高を正確に集計した資料」を別途作成する必要があり作業コストが高くつきます

また、一括比例分配方式にしたからといって劇的に消費税還付金額が増える訳でもなく、場合によっては個別対応方式よりも還付金が少なくなるケースもあります。

そのため、当記事では会計ソフトの機能だけで必要な資料全て自動作成できる「原則課税(個別対応方式)」をおすすめします。

続けて税区分の設定についてです。「ホームページ>各種設定>税区分」をクリックします。

すると下記の様な画面が表示されますので、まずは左上の「課税形式」タブのリストから「原則課税個別対応方式)」を選択します。すると帳簿で仕訳をする際に選択可能な税区分が一覧で表示されるので、ebayの様な輸出事業でよく使う「輸出売上0%(輸売0%)」、「課税仕入10%(課仕10%)」、「共通課税仕入10%(共-課仕10%)」にチェックを入れます。(元々チェックが入っていればそのままでOKです)

チェックを入れると下の画像の様に、仕訳入力をする際に上記の税区分も選択できる様になります。

会計ソフトの基本設定は完了です。

続けて具体的な仕入れの仕訳の解説に入りますが、仕入れには大きく分けて2つのパターンがあります。

それは、仕入れる商品が新品の場合中古品の場合です。

仕入れる商品が新品の場合は特に問題は無いのですが、中古品の場合は法令等によってかなりの制限を受けます。

当記事では中古品を仕入れる際、法令等によってどの様な制限を受けるのかについても背景となる具体的な法令等と一緒にきちんと解説をしますので、罰則を受けないためにもぜひ最後までお読みください。

それではまず、「商品を新品で仕入れた場合」について解説します。

2. 商品を新品で仕入れた場合

具体例として、下記の様な場合を考えます。

Amazonで33,000円(税込)の新品の商品をクレジットカード払いで仕入れた場合

上記例のように「国内での仕入金額の全額をクレジットカードで支払った場合」は下記の様に仕入の仕訳をします。計上日の考え方は複数ありますが、基本的に決済をした日にしておけばOKです。

「仕入高」勘定に直接対応する貸方の勘定科目は「未払金」ではなく「買掛金」勘定である点にご注意ください。

実際、「買掛金」勘定は結局「未払金」勘定に仕訳し直す(これを「振り替える:ある勘定科目から別の勘定科目へ金額を移すこと」と言います)ことになりますし、「買掛金」勘定を省略しても税金の計算に影響はありません。

ですが、事業の流れを帳簿上でより細かく追えることや、貸借対照表の負債の部に「買掛金」勘定が記載されることから、上記のように買掛金を省略せずに仕訳することをお勧めします。

特に、外部に貸借対照表を使って財務説明を説明するような法人の場合、上記のように仕入れの仕訳をしておいた方が良いでしょう。

続けて、特に注意が必要な「支払にポイントを使う場合」の仕訳についても解説します。

Amazonや楽天市場での支払いにポイントを使う場合、そのポイントが元は自分の現金だったかどうかで扱いが変わります。

ポイントの取り扱いについては国税庁こちらのページで解説していますが、下記にて実例で解説させて頂きます。

よくあるAmazonポイント楽天ポイントを使った場合というのは、「あらかじめ1ポイント=1円で購入していたポイントではないポイント」で支払ったケースです。この様なポイントは下記の様に「雑収入」という勘定科目で仕訳を行います。

もうひとつは、主にPayPayなどの電子マネーで支払った場合で、「あらかじめ1ポイント=1円で購入していたポイント」で支払ったケースです。(他の物を購入した特典で付与されたPayPayポイントについては”雑収益”の扱いになります。)

この様なポイントは下記の様に「現金」という勘定科目で仕訳を行います。

以上を踏まえて各仕訳を入力したら、仕入金額と消費税が記載された領収書を「証憑」として添付するのを忘れないようにしましょう。

もし領収書等を紛失してしまった場合は、ベストではありませんが仕入れ金額が記載された取引メールなどを添付しておき、実際にあった取引であることを証明できる様にしておくと良いでしょう。

輸出事業では仕入高の消費税還付金はかなりの金額になります。そのため、税務調査が入った場合は仕入高の証憑は最も詳細にチェックされます。いつ税務調査が入っても良いように、必ず領収書等の証憑を仕入高の仕訳に添付することを忘れないで下さい。

ちなみに青色確定申告では「電子帳簿の保存」が必要ですが、有効な電子帳簿の要件にタイムスタンプの付与された証憑を各取引ごとに保存すること」が定められています。

タイムスタンプは第三者機関による認証が必要なため本来は別途コストがかかるものですが、「マネーフォワードクラウド確定申告」の様な会計ソフトを使えば仕訳に証憑を添付する際に自動でタイムスタンプが付与されます。(マネーフォワードのタイムスタンプ付与に関する詳細についてはこちら

帳簿上のタイムスタンプの要件を満たすためにも、必ず会計ソフトを用いて各取引の仕訳に証憑を添付しておきましょう。

また、2023年10月1日から始まるインボイス制度への対応も仕訳入力の中で行います。

マネーフォワードの会計ソフトの場合、インボイス制度に対応した帳簿づけを行えるよう仕訳入力の欄に「取引先」と「適格」いう欄が設けられています。

これらの欄を使って、「仕入インボイス制度にきちんと対応した事業者であること」を帳簿に入力することができます。

なお仕訳の入力画面における取引先の入力は選択式となっており、あらかじめ「取引先のリスト」に取引先の情報を入力しておいて選択肢に表示できるようにしておく必要があります。

取引先リストへの登録」は下図のように、「ホーム画面>各種設定>取引先」から行うことができます。

私と同じ「マネーフォワードクラウド確定申告」を使っている方は登録の練習として、まずは使用頻度の多そうなAmazonジャパン(登録番号:T3040001028447)を登録してみましょう。(登録番号だけ入力したら自動で会社情報が埋まります)

ここで入力する「登録番号」とは、インボイス制度開始後に仕入れについて消費税還付を受けるのに必須となる番号です。

インボイス制度開始後は、仕入れ先の事業者が「適格請求書発行事業者」として国税庁に認定されていないと、その仕入れで支払った消費税について還付を受けることができません。

登録番号」とは、仕入れ先が適格請求書発行事業者であることを証明するための番号です。そのため、仕入れ先の登録番号が必要になるのです。(参考:国税庁リンク「登録番号とは」

Amazon楽天市場といった大手ECサイトの場合、出品者が登録番号を取得してECサイトに登録していれば領収者・請求書等に登録番号が記載されるという対応をとることになっています。

大手ECサイトのインボイス制度対応

とはいえ、インボイス制度開始後も登録番号を取得していない個人出品者などは一部でてくると思われます。

なので、必ず各領収書・納品書に「登録番号」が記載されているかのチェックはしておきましょう。

なお購入前に仕入先の登録番号が分かった場合は、それが国税庁に登録済みのものかどうかを、下画像の様な国税庁公式の登録番号検索ページで確認できると完璧です)

以上、「商品を新品で仕入れた場合」の仕訳と注意点についてでした。

次に、商品を中古で仕入れた場合の仕訳について解説します。

3. 商品を中古で仕入れた場合

仕訳の説明に入る前に、中古品仕入れで守るべき法令のポイントを把握しておきましょう。

というのも、そもそも法令等の制限により個人が手軽に仕入れることができる中古品はかなり限定されるからです。

なので最初に「どの様なものであれば法令等を守った上で手軽に仕入れることができるか」を解説し、その次に「それらを仕入れた時の仕訳」について解説をします。

まず、中古品を仕入れる上で守るべき法令等は基本的に下記の5つです。

  1. 古物営業法
    【要点】
    中古品を取り扱う事業者にとって最も基本となる法令。中古品の仕入れで収益を得る場合、古物商免許が必要。(古物商免許の取得に必要な書類や手順はこちらの記事で解説しています)
  2. 古物商特例
    【要点】
    1万円以上(税込)の品は氏名・住所確認が必要。中古品の仕入れについても消費税還付を受けられる。
  3. 古物営業法施行規則
    【要点】
    バイク及び原付ゲームソフトメディアデータを保存したCD・DVD等光ディスク書籍1万円以下(税込)であっても本人確認が必要。
  4. 東京都青少年の健全な育成に関する条例
    【要点】
    未成年から商品を仕入れてはいけない。
    ただ、条例に未成年からの仕入れについて罰則は明記されているものの、年齢確認の手段や本人確認書類コピーの提出・保管については明記されていない。
    そのため店舗仕入れでも1万円未満(税込)の商品(上記3.に示す商品は除く)であれば、「担当者」(警視庁に電話確認したところ「レジ打ち対応をした店員」が該当するとのこと)の年齢確認で仕入れが可能。
    レジ打ち対応の店員さんが成人か怪しい場合は最低でも口頭での年齢確認が必要で、年齢確認したことを古物台帳には記載する必要あり。
  5. 東京都警視庁公文書
    【要点】
    インターネット等を利用した相手方と直接対面しない形態の取引では、法令で定められた「非対面取引における相手方の確認方法」をとる必要がある。
    1万円未満(税込)で古物商特例を適用できる場合であっても、18歳未満の者からの買い取りでないことを確認する必要はある。(メールやメッセージ機能等を使用して確認をする等
    また、取引相手が法人である場合、法人の名称・所在地情報等に加えて取引担当者の氏名、年齢、職業を確認する必要がある。

そして、これらの法令等を踏まえた仕入れ時の対応をまとめた図が下図になります。(クリックまたはタップで拡大してご覧ください)

なお、上の図はあくまで東京都のケースです。大きな差は無いと思いますが、「条例」や「警察署公文書」については各都道府県が独自に定めることができるものなので、お住まいの都道府県のものを必ず確認するようにしてください。

正直に言って、個人がこれらの法令等を守って手軽に仕入れることができる中古品は「1万円未満(税込)の品(バイク及び原付、ゲームソフト、メディアデータを保存したCD・DVD等光ディスク、書籍を除く)」とかなり制限されます。

「1万円以上(税込)の高額な中古トレーディングカードの大規模仕入れなどを想定している場合」などは、メルカリのような厳密な本人確認が難しい方法で仕入れるのではなく、自分の中古カード買取ショップまたは独立したECサイトを開設し、法令要求を満足する「仕入元の本人確認システム」を構築して仕入れをした方が良いでしょう。

中古品の仕入れで把握しておくべき法令の解説は以上です。

続いて、「個人が手軽に中古品を仕入れられるケース」、つまり「1万円未満(税込)の品(バイク及び原付、ゲームソフト、メディアデータを保存したCD・DVD等光ディスク、書籍を除く)を仕入れるケース」仕訳古物台帳の具体例を解説します。 

2023年11月10日にメルカリで中古の服8,800円(送料込み)を購入し、全額をクレジットカードで支払った。

この場合、仕訳は下図の様に作成します。

勘定科目や税区分については新品の仕入れと同じで、左の借方には「仕入高」を、右の貸方には「買掛金」を計上します。

消費税についても新品と同様に計上できるので、消費税還付を受けるために忘れず計上しておいてください。

仕入先が登録番号を取得していなくても古物商特例を適用できれば消費税還付が受けられるので、特例を適用していることが分かるよう、摘要欄古物商特例を適用していることをメモしておくとより良いです。

続けて、古物台帳を下図の様に作成します。

仕入単価が1万円未満(税込)(かつバイク及び原付、ゲームソフト、メディアデータを保存したCD・DVD等光ディスク、書籍でないもの)なので、古物商特例が適用されます。

そのため仕入元の氏名又は名称及び住所又は所在地の記帳は必要ないのですが、できるだけ仕入元の名称等を分かる範囲で記録しておくことをおすすめします。

なぜなら古物台帳は仕入元のデータベースとしての側面もあり、各仕入元の仕入価格情報を蓄積して仕入れの効率化もできるからです。

ちなみに上記の例は販売先の住所情報を省略して書いていますが、実際に記入する際はきちんと販売先の細かい住所まで全て書く必要があるのでご注意ください。

以上、「商品を中古品で仕入れた場合」の仕訳と注意点についてでした。

次は新品・中古品に共通して、「仕入れた品が年度をまたいで在庫として残る場合」の仕訳について解説します。

4. 期末(年度末)の在庫の仕訳

そもそも、仕入れの時点で既に仕訳を行っている物に対してなぜ期末(年度末)に改めて仕訳し直す必要があるのか?

ざっくり言うと、それは「所得税の計算」を正しく行うためです。

所得税は、確定申告で申告する収益の金額が大きいほど大きくなります。

そしてこの収益の金額は、期末時点の在庫を「期末商品棚卸高」として計上しないと正しく計算することができません。(詳細は下図をご覧ください。なお細かい経費等は省略しています。)

つまり「期末(年度末)の在庫の仕訳」とは、「在庫を期末商品棚卸高という勘定科目で仕訳し直す作業」ということです。

またこれは、当期の在庫情報を来期に引き継ぐ仕訳であり、このような「年度をまたぐ仕訳」を「決算整理仕訳」と言います。

次に、具体例で解説していきます。

初めて在庫について仕訳をする人にも分かりやすいよう、下記のように2段階に分けて解説します。

  • ① 開業してから初めて期末に在庫がある場合の仕訳
  • 昨年度と当年度の両方で期末に在庫がある場合の仕訳

まず「① 開業してから初めて期末に在庫がある場合の仕訳」の具体例について解説します。

下記の様な場合を考えます。(当解説における「年度」は、確定申告における計算期間(1月1日〜12月31日)とします)

【①の具体例】
2022年度内に仕入れた商品のうち下記2点が年度末時点の在庫として残っていた。(いずれもクレジットカード支払)
なお、年度末時点で在庫が発生したのは2022年度が初めてである。

<2022年度末時点の在庫情報>
・2022/10/10に仕入れた商品:11,000円(税込)
・2022/11/11に仕入れた商品:22,000円(税込)

これらの在庫情報を踏まえ、2022年度末の在庫の仕訳を行う。

まず、仕入れた時の仕訳は下記のようになります。消費税還付を受けるためにきちんと取引先情報と消費税を入力しましょう。(クレカ払いの銀行口座引き落としの仕訳は省略)

そしてこれらの商品が年度末に在庫として残っている場合、下記のように仕訳を行います。

注意点は2つあります。

まず1つ目は「期末(年度末)に在庫として計上する金額は原価とする点」です。

消費税は仕入れた時点で支払っている扱いになりますので、仕入れた商品が売れてる売れてないに関わらず、仕入れを行った年度に消費税申告を行って還付を受けることになります。

そのため、期末(年度末)に在庫として計上する金額は消費税を抜いた原価になるのです。(税込で在庫計上する方法もあるのですが、経理方式から変わってくるのと消費税還付金の受け取りが遅くなるというデメリットが増えるだけなので当ブログでは紹介しません)

2つ目は、「決算整理仕訳として登録」にチェックを入れる点です。

決算整理仕訳は本来、帳簿上の処理が非常に面倒な仕訳なのですが、「会計ソフト:マネーフォワードクラウド確定申告」の場合は「決算整理仕訳として登録」にチェックを入れておくだけで面倒な処理(貸借対照表への記載など)を全て自動で行ってくれます。(めちゃくちゃ便利です)

作業コスト低減のためにも、必ずチェックを入れておきましょう。

ちなみに、貸方期末商品棚卸高に対応する借方の勘定科目は「棚卸資産」に属する勘定科目であり、これは「商品」以外も入力することが可能です。

「会計ソフト:マネーフォワードクラウド確定申告」の場合、下記のように「各種設定>勘定科目>棚卸資産>勘定科目名」から、使用できる「棚卸資産に属する勘定科目」を確認できます。(新規追加することもできます)

もし自分でハンドメイドの商品を作ったりしていて材料仕掛品(製造途中の品)なども計上する必要がある場合は、ご自身の事業内容に合った棚卸資産の勘定科目を選択または追加してください。

「① 開業してから初めて期末に在庫がある場合の仕訳」の説明は以上です。

次に、「② 昨年度と当年度の両方で期末に在庫がある場合の仕訳」の具体例について解説します。

下記の様な場合を考えます。

【②の具体例】
2023年度内に仕入れた商品のうち1点が年度末時点の在庫として残っていた(支払はクレジットカード支払)。
<2023年度末時点の在庫情報>
・2023/12/12に仕入れた商品:55,000円(税込)

また、昨年度の2022年度末時点では30,000円の在庫があったため、これを2023年度の期首棚卸高として計上する。
<2023年度期首の在庫>
・2023年度の期首商品棚卸高:30,000円(=2022年度の期末商品棚卸高)

これらの在庫情報を踏まえ、2023年度末の在庫の仕訳(決算整理仕訳)を行う。

「2023/12/12の仕入れ」の仕訳は下記のようになります。(クレカ払いの銀行口座引き落としの仕訳は省略)

当具体例では昨年度2022年度末にも期末商品棚卸高があったため、これを当年度2023年度の期首商品棚卸高として計上する決算整理仕訳も必要になります。具体的には下記のような流れでこの決算整理仕訳を行います。

2022年度末に期末商品棚卸高の決算整理仕訳をしていれば、上図の2023年度期首の「開始仕訳」は自動で作られます。

あとは①の具体例の時と同様、2023年末時点の在庫を下記のように「期末商品棚卸高」として計上すれば2023年度末の在庫の仕訳は完了です。消費税を含まない原価で計上すること、決算整理仕訳として登録するにチェックを入れることを忘れないで下さい。

期末(年度末)の在庫について実際に私たちが会計ソフト上で行う作業は以上になります。

これらの作業を行っておくと、確定申告時には会計ソフトが自動で期首・期末棚卸高の情報を下記の「決算書」に入力してくれます。(「会計ソフト:マネーフォワードクラウド確定申告」の場合)

この「決算書」で国にきちんと在庫情報が申告され、正しく所得税計算が行われるわけです。

以上、「期末(年度末)の在庫の仕訳」の説明でした。

5.まとめ

新品と中古品の仕入れの仕訳については、インボイス制度を踏まえた入力が変わるだけで使用する勘定科目は変わりません。

ただ、法令等を踏まえた仕入れの難易度は圧倒的に中古品の方が高く、個人が手軽に仕入れられる中古品は1万円未満(税込)の品(バイク及び原付、ゲームソフト、メディアデータを保存したCD・DVD等光ディスク、書籍を除く)に限られます。

1万円以上(税込)の中古品を大規模に仕入れたい場合は、自分の店舗・ECサイトを作って法令要求を満足する「仕入元の本人確認システム」を構築した方が良いでしょう。

期末(年度末)の在庫については、確定申告で正しく所得税計算をするためにも決算整理仕訳を行う必要があります。

消費税還付はその商品が売れた売れないに関わらず受けることができますが、在庫の計上時に消費税を計上しないよう注意しましょう。決算整理仕訳にで計上する在庫金額は消費税抜きの原価になります。 

以上、「【ebay仕入れ在庫仕訳インボイス制度対応)」のまとめになります。

インボイス制度が始まると登録番号の有無が仕入元選定の大きな要因になってきますので、単純に仕入れ価格だけでは仕入れの判断ができなくなってきます。

新しい法令等に対応していくのは大変ではありますが、早い段階で適応できればそれだけ有利にビジネスを進めることができます。

ebay輸出は消費税非課税の輸出事業であり、消費税増税が続く日本では非常に有利なビジネスです。

未経験の個人セラーでは帳簿作成が難しいという大きなハードルがありますが、こうした帳簿作成ノウハウは当ブログでしっかりと解説していきますので、ebayで一緒にこの大増税時代を乗り越えていきましょう‼️

それではまた別の記事でお会いできたら幸いです♪
最後まで読んでくださったあなたに心からの感謝を(* ᴗ ᴗ)⁾⁾

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