【簿記2級 過去問解説】第151回 問3(商業簿記:連結精算表)
「簿記2級検定試験 2018年度 第151回 問3(商業簿記:連結精算表)」の解答・解説です。(試験問題文は著作権上掲載できませんので、お手元にご用意ください。)
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前提情報
前提情報として資料1〜5が与えられており、これらは下記のように整理されます。
まず資料1ー(1)より、下記の様なS1社のタイムテーブルとS1社X3年度の開始仕訳を作成することができます。(タイムテーブルと開始仕訳の作成プロセスについてはこちらのリンクで詳細に解説しておりますので、タイムテーブルと開始仕訳の作り方を詳細に理解したい方は参照してください。)
資料1−(2)では、S2社がP社の100%子会社として資本金100,000千円で当期首に設立されたことが示されています。
子会社株式は売買目的有価証券(資産:借方)の様にその株式の売買で利益を見込むものではないため、貸方に振り替える相殺仕訳を行います。
子会社株式の発行に要した資本金(純資産:貸方)は、借方に振り替えることで相殺仕訳を行います。
資料2からは、下記のようなグループ会社間の取引高・債権債務の相殺消去仕訳を作成することができます。
資料3(ダウンストリーム取引)からは、下記のような未実現利益の仕訳を作成することができます。
親会社から子会社へ販売するダウンストリーム取引であるため、非支配株主持分の利益を考慮する必要はありません。
資料4からは、グループ会社間での賃貸取引を示しています。注意点は、S2社はP社から建物を賃貸しており、その賃貸料は販売費及び一般管理費に計上することが資料1にて示されていることです。これにより、賃貸資産減価償却費(P社の個別財務諸表に記載)を”販売費及び一般管理費”に振り替える必要があります。
資料5では、グループ会社間での土地売却取引が示されており、この未実現利益(7,700千円=134,000千円ー¥126,300千円)を相殺消去する仕訳が必要になります。
これら上記の仕訳さえ正確にできれば後は消化試合の様なものです。与えられた資料情報の仕訳が全て正確にできるまで何度も練習することをお勧めします。
以上の前提情報を踏まえ、解答・解説を下記に示します。
全解答
当問の全回答は下記のようになります。表中の各勘定(1)〜(39) について詳細に解説していきます。
(1)現金預金
現金預金については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(2)売掛金
売掛金については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(3)商品
商品については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(4)未収入金
未収入金については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(5)貸付金
貸付金については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(6)未収収益
未収収益については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(7)土地
土地については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(8)建物〜(11)備品減価償却累計額
(8)建物〜(11)備品減価償却累計額については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(12)のれん
のれんについてはタイムテーブルの情報(下表の赤枠部を参照)を参照し、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(13)差入保証金
差入保証金については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(14)子会社株式
子会社株式については開始仕訳と修正仕訳の情報(下表の赤枠部を参照)を参照し、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(15)買掛金
買掛金については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(16)借入金
借入金については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(17)未払金
未払金については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(18)未払法人税等
未払法人税等については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(19)未払費用
未払費用については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(20)前受収益
前受収益については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(21)資本金
資本金については開始仕訳の情報(下表の赤枠部を参照)と資料1の修正仕訳を参照し、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(22)資本剰余金
資本剰余金については開始仕訳の情報(下表の赤枠部を参照)を参照し、それをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
次の(23)利益剰余金は、損益計算書の親会社に帰属する当期純利益を算出後に求めるため、後述します。
(24)非支配株主持分
非支配株主持分の利益剰余金は、S1社の当期(X4年度)開始仕訳と当期(X4年度)に得た利益剰余金を合算して算出します。
(25)売上高
売上高については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(26)役務収益
役務収益については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(27)売上原価
売上原価については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(28)役務原価
役務原価については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(29)販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(30)のれん償却
のれん償却については、X0年3月31日にS1社を子会社化した時ののれん26,000千円を耐用年数20年で割った金額1,300千円を計上し、P社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額と合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(31)受取利息
受取利息については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(32)賃貸資産受取家賃
賃貸資産受取家賃については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(33)支払利息
支払利息については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(34)賃貸資産減価償却費
賃貸資産減価償却費については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、それらをP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(35)土地売却益
土地売却益については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、P社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額と合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(36)法人税、住民税及び事業税
法人税、住民税及び事業税については修正仕訳が発生していないので、単純にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(37)当期純利益
当期純利益は損益計算書の(25)〜(36)の合計にP社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額を合算して算出します。
(38)非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益については修正仕訳(下表の赤枠部を参照)が発生しているので、P社・S1社・S2社の個別財務諸表の金額と合算して連結財務諸表の金額を算出します。
(39)親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する当期純利益の修正仕訳を適用した当期純利益のことです。
(23)利益剰余金
貸借対照表における利益剰余金は、損益計算書における親会社株主に帰属する当期純利益に、当期開始仕訳の利益剰余金と商品の未実現利益に係る修正仕訳である利益剰余金(当期首残高)を加味し、算出します。
以上、”簿記2級試験 第151回 問3(商業簿記:株主資本等変動計算書)“の解答・解説・ポイントでした。
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