投資の基礎知識:板読み(パート3)【勝ちたいなら強い板で戦おう!!】

増やす力

ぶっちゃけ、強い板で大きな欲を出さずに戦えば、小手先のテクニックを知らなくても短期トレードで勝ててしまいます。

それぐらい「強い板」を見抜ける力は重要なのです。

強い板を戦場に選んだ上で、更に他のプレーヤーの動向をある程度予測できればさらに勝率は高まります。

強い板とはどういうものか、また他のプレーヤーとはどんな動きをするのかを当記事で学び、勝てる短期トレーダーになりましょう!!

強い板とは?

まず、板には「強い板」「弱い板」があり、簡潔に言うと下記の様になります。

  • 【強い板】
    買い指値注文が多く、売り指値注文が少ない板。
    すなわち買いたい人の方が多く、売りたい人が少ない板の事。
  • 【弱い板】
    売り指値注文が多く、買い指値注文が少ない板。
    すなわち売りたい人の方が多く、買いたい人が少ない板の事。

下図が強い板の具体例になります。(弱い板は単純に強い板の逆の構成になります。)
「強い板」の具体例

買い指値の株数が売り指値の10倍以上もあります。強い板で戦うべき一番の理由は、この様に非常に強い買い圧力がかかっていることで、株価の上昇を高い確率で見込めるためです。

株価の上昇が高い確率で見込めることから、利益確定することが非常に簡単です。

2021年12月現在の日本市場でこれほどの強い板の銘柄はなかなか見かけませんが、買い指値の株数が売り指値の3倍程度の銘柄であれば、低迷している今の日本市場でもいくつか見つけることができます

朝9:00の板寄せまでに強い板をもった銘柄を見つけることができれば、その日のデイトレードはほぼ勝った様なものでしょう。

強い板でエントリーすれば損切りが簡単

「損失を小さくしつつ利益を狙う」というのが、私たちが絶対に崩してはいけない基本のスタイルです。

損失を小さくするには迅速にロスカットできる状況にいないといけませんが、そもそも買い手が少ない弱い板では、いざという時の売りが約定せず、損失を低く抑えてロスカットすることができません

売れないままに株価がズルズルと下がっていき、含み損が膨らんでいく様子をただ眺めるだけという最悪の状況になってしまいます。

だからこそ、買いから市場に参入する場合、まずは買い板が分厚い「強い板」を持った銘柄を探す必要があるのです

そして「強い板」を持った銘柄を選んだ後は、自分の他にどの様なプレーヤーが市場にいるのかを見ていきましょう。

板の動きで市場にいるプレーヤーが分かる

マーケットには私の様な小口の個人投資家だけではなく、何百億円という莫大な資本力を持った大口の機関投資家や、人間ではない自動売買プログラム(以降「アルゴリズム」と呼びます)など、様々なプレーヤーが参加しています。

数100株程度がちょこちょこと売り買いされている様子が板情報の中に見える場合は、私の様な資金の少ない小口の個人投資家が動いています。

そして何万株といった大量の注文が一度に入った場合は、どこかの機関投資家が市場に参加していることを疑いましょう。

また売買注文が絶え間なく細かく入っている場合は、人の手によるものではなくアルゴリズムが市場に参加していると考えられます。

この様に、板情報の変化を読み解くことどの様なプレーヤーが市場に参加しているのかをある程度考察することができます。

次は、上記の各プレーヤーが市場でどの様な傾向で動くのかを把握しましょう。敵を知り、己を知れば百戦危うからずです。

機関投資家の傾向

重要な前提として、莫大な資金力を持つ機関投資家は「1日の出来高(ある銘柄の1日の約定の成立数)のうち1機関投資家が20%を超えて取引することはできない」という制約を受けています。

これは、莫大な資金力をもつ1プレーヤーがある銘柄の株を大量に買うことができてしまえば、1プレーヤーが意図的にその株価を大きく押し上げることができてしまうからです。

一部のごく少数のプレーヤーによって自在に株価が操作できることを許容してしまっては、世界中の小口投資家を集めることができず、結果、株式市場全体の資本は縮小してしまい、株式会社全体の成長を妨げてしまいます。

健全に市場原理を働かせるため、莫大な資金力を持つ投資家にはこの様な制限が設けられているのです。

この制限により、機関投資家の買いは一定期間じわじわと続く傾向があります。従って機関投資家の買いは、板の中ではそれなりに株価に与える影響が大きいものの、株価を乱高下させるほどの大きな影響はありません

アルゴリズムの傾向

アルゴリズムと聞くと、複雑な動きをしている様に思えるかもしれませんが、大きく分けて下記の2つのタイプに分けることができます。

  • 細かく利益確定を刻んでいくアルゴリズム
  • 淡々と買うアルゴリズム

「細かく利益を刻んでいくアルゴリズム」は、高頻度売買で薄い利ザヤを抜いていき、それらを積み上げることで利益の拡大を目指すトレードを行います。

これに対して「淡々と買うアルゴリズム」は、上記の制約を破らないよう、淡々と買いの約定を積み上げていくトレードを行います。

この様に、アルゴリズムといっても大きな視点でみれば2つのタイプしかないことを念頭に置いておきましょう。

なお、アルゴリズムのトレードはその時の出来高に応じて注文を出していくので、板寄せの時に最も注文量が多くなる傾向にあります

というのも、これは実際に取引の多い銘柄を見てみると分かることですが、1日の出来高の推移を見ると、板寄せ時にその日の出来高の3割程度ができる場合がほとんどだからです。

ちなみに板寄せの後は、前場・後場で3割ずつ、引け(その日の市場が閉まる手前)で1割程度で約定する流れが多いです。

この様に、売買の大きな流れに連動する形でアルゴリズムの売買が発注されることから、私たち個人投資家はこの大きな流れに自分の売買注文をぶつけるという戦略をとることができます。

特に、自分が売りたいタイミングでアルゴリズムによる買いが入った場合は、更に株価が上がったところで約定できる可能性が高いため、利益を拡大できる可能性があります

どちらかというと、個人投資家にとっては動きを予想しやすいアルゴリズムの市場参入は、望ましいと言えるでしょう。

個人投資家の傾向

一番傾向を掴みづらいのは、個人投資家の傾向です。

特にデイトレードなど短期の売買を行っている資金のある個人投資家たちは、相応のロットで買いを入れてきますので、資金のある個人投資家の数が多ければ多いほど板に与える影響は大きく、株価の乱高下が起こりやすくなります

板の中で大量の売買指値注文が不規則に動く場合は、資金の大きな個人投資家が多数、市場に参入していることを疑い、動きを全く想定できないと潔く判断してその市場から撤退することも検討するべきでしょう

機関投資家ほどではないものの比較的大きな資金をもった個人投資家というのが、一番動きが読めずやっかいなのです。

戦略的撤退も大切な投資判断の一つです

株価の推移をしばらく眺め、株価の動きを全く予想できなかった銘柄は相性が悪いと思ってあきらめ、手を出さないようにしましょう

まとめ

下記、まとめになります。

  1. 短期トレードで勝つには、強い板を持った銘柄を探すことが一番重要。
  2. 強い板の銘柄では場が開いてから株価が上昇する確率が高く、利益確定しやすい。
  3. 機関投資家やアルゴリズムの市場での傾向を踏まえて動くと、利益の拡大を狙いやすい。
  4. 動きの読めない巨大資本を持った個人投資家が板に参加している可能性があるので、株価があまりにも予想と外れた動きをするなら、相性が悪いと思って戦略的撤退するのも大切。

以上、今回は投資の基礎知識::板読み(パート3)【勝ちたいなら強い板で戦おう!!】について説明させて頂きました。

株式投資は正しい知識・メンタルを身につければ、手堅く資産を増やしていける立派なスキルです。

これからも、ぜひ一緒に学びながら資産を手堅く増やしていきましょう(`・ω・́)ゝ

最後に、ここまで読んでくれたあなたに心からの感謝を。ありがとうございました(* ᴗ ᴗ)⁾⁾